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​精神・心療科の代表的疾患

精神疾患が増加傾向にある現代、世界中で鍼灸治療(東洋医学的治療)が注目されています。

病院での治療と併用して当院の東洋医学的鍼灸治療を受けることをおすすめします。

⒈鬱病(うつ病)

(1)うつ病とは?

うつ病とは、気分、思考、意欲の面における変調を主徵とするもので、セロトニンやノルアドレナリンなど

の脳内神経物質が関連していると言われている疾患です。

ストレスが引き金となる場合が多く、特に人間関係と環境の変化が引き金となりやすいと言われています。

(2)症状

抑うつ気分、興味や喜びの喪失、疲れやすい、意欲低下、思考力や集中力低下、自殺念慮、食欲や体重の異常、

​睡眠障害、頭痛、肩こり、腰痛などの症状が出現します。

(3)病院での治療

十分な休養をとることが重要です。

症状がなかなか引かない場合、思い切ってお仕事や家事などを休むことが重要となってきます。

それでも改善が見られない場合、薬物療法(抗うつ薬)を考慮します。

抗うつ薬はセロトニンやノルアドレナリンの働きを高める働きをし、抑うつ気分や意欲低下といった症状を取り

除く効果が期待できます。

<抗うつ薬>

ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬

選択的セロトニン取り込み阻害薬

<副作用>

眠気、食欲不振、吐き気、便秘、めまい、頭痛など

※重度のうつ病で自殺の危険性がある場合などは、磁気刺激療法(頭に電気刺激を与える治療法)が考慮されます。

(4)鍼灸での治療

うつ病は東洋医学では肝実証という状態が最も多く見られます。肝には血をコントロールする機能があり、

この機能に異常が出ると気血を身体中に送ることができず、気血の停滞が起こります。この状態を肝実証といいます。ストレスを内に秘め、外に出せない人が肝実証の状態になりやすい特徴があります。肝の機能異常を鍼灸治療によって治療を行い、気血の停滞が改善されることでうつ病によるさまざまな症状は改善していきます。

また、うつ病には実にさまざまな身体症状(不眠、頭痛、肩こり、腰痛など)を訴えるものがあり、これらの症

状をまずは鍼灸治療によって取り除いてあげることで、抑うつ気分や意欲の減退といった精神症状を改善させる

ことができます。

※不眠について

うつ病では眠れない(不眠)症状が大変多いです。ここでは、不眠の東洋医学的な考え方についてお伝えします。不眠の原因で最も多く見られるのは、肝の異常です。肝は血をコントロールしており、肝に異常があると

体内の血が不足(血虚)または流れが停滞(瘀血)してしまいます。

①血不足による不眠

血が不足する原因の一つとしては、頭の使いすぎがあります。実際に起こるかどうかもわからない先のことなどを常に考えたりしていると、体内の血が不足してしまいます。これによって眠った気がしないといった不眠の症状が発症します。睡眠中も常になにか考えているような状態で頭が休めていないので、夢をよく見たり、寝言が多いといった方が多く見られます。

②血の流れが停滞することによる不眠

通常夜間の睡眠時には身体中の血は肝に貯蔵されています。そして昼間には肝が必要に応じて身体に血を送っています。しかし、血の流れが停滞することによって、夜間睡眠時に肝に戻ってくるはずの血が戻ってこなくなり、不眠症状が発症します。血の流れが停滞する原因にはさまざまなものがありますが、主に打撲や転倒(交通事故)、常に我慢した生活、月経不順、飲食不摂生、慢性疾患持ちなどがあります。

東洋医学では症状がなぜ発症しているのか(病態)を把握し、漢方では病態にあった漢方薬を、鍼灸では病態に

対して効果のある経絡経穴(ツボ)を使って治療を行います。病院での治療と合わせて治療を行うことで、病院での治療の効果を上げることが可能です。また、お薬の副作用が強く出る方や、病院での治療を長く続けているがいまいち効果が出ていない方には、ぜひ一度東洋医学での治療をお勧めします。

神経症

⒉神経症

(1)神経症とは?

神経症とは、不安が極めて大きかったり、恐怖心にあおられたり、何かをしなくてはすませられない強迫観念どがある精神疾患を言います。原因はよくわかっていません。

(2)症状

不安、強迫、恐怖、ヒステリー、心気、抑うつなどがあります。

症状に身体的愁訴があっても、レントゲンやCTなどの検査では異常は見られません。

(3)病院での治療

治療は基本的に薬物療法(抗うつ薬、抗不安薬)が処方されます。

(4)鍼灸での治療

神経症にはさまざまな種類がありますが、東洋医学的には基本的に肝の異常が原因となることが多いです。

肝は東洋医学では「怒」の感情と密接な関係があります。肝は血をコントロールしており、肝の機能に異常があ

ると血不足や血の流れが停滞し、それが「怒」の感情となって現れます。常にイライラし、何事も自分一人で抱

え込んでしまうような状態となります。ストレスをうまく発散できる人はいいですが、内に内に抱え込んで発散

できない人は神経症の症状(不安、恐怖、抑うつなど)を発症しやすくなります。

鍼灸治療では、お身体の状態が東洋医学的にどのような状態(病態)になっているのかを把握し、病態に応じて

効果のある経絡経穴(ツボ)を使って治療を行います。

心身症

⒊心身症

(1)心身症とは?

心身症とは、心理社会的因子が発症や経過に密接に関与した身体疾患です。

(神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外します。)

内科領域の代表的心身症には消化性潰瘍、虚血性心疾患、本態性高血圧、糖尿病、潰瘍性大腸炎、過

換気症候群、片頭痛、緊張性頭痛などがあります。

他にも、慢性蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、関節リウマチなどの慢性疾患があります。

(2)症状

各器官ごとの身体症状があります。

身体症状以外に、不安感、憂うつ感、不眠などの症状がしばしば認められます。

(3)病院での治療

治療は基本的に薬物療法と心理療法です。

薬物療法では、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などが処方されます。

心理療法は、自立訓練法、行動療法、家族療法、認知行動療法などがあります。

(4)鍼灸での治療

心身症の鍼灸治療は、発症している症状によって治療方法が変わってきます。

東洋医学的に病態を把握し、病態に応じて適切な治療を行うことで症状を改善させることができます。

しかし、心身症は心理社会的因子が症状の発症に関係があるため、発症の原因となっている因子を取り除くことが非常に重要です。

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