​神経系の代表的疾患

 

⒈片頭痛

(1)片頭痛とは?

(2)症状

一般的に発作性に発症し、片側に拍動性にみられる頭痛をいいます。

10代から40代の女性に多く、悪心や嘔吐を伴う場合もあります。

原因は遺伝、肩こり、ストレス、月経、天候、睡眠不足または過睡眠などさまざまです。

​これらの原因によって脳内の大きな血管が拡張し、脳内で最も大きい三叉神経が圧迫されます。

圧迫された三叉神経は神経ペプチド(痛みの原因物質)を分泌し、さらに血管を拡張させてしまいます。これによって激しい頭痛が引き起こされます。

また、ストレスによって頭痛が発症する機序として過剰なセロトニンの放出があります。

過剰なストレスにより血管を収縮させるセロトニンが大量に放出されます。時間の経過によってセ

ロトニンの放出は収まっていきますが、この収まっていく過程で急激に収まってしまうとこれに伴い

血管が急激に拡張し、激しい頭痛に襲われることがあります。

発作性にみられる肩側の拍動性頭痛。

前兆があるタイプでは閃輝暗転(太陽を直視した後の残像のようなキラキラしたものが視界の中心

に現れる)や視野障害などがあります。

頭痛は数時間から数日間続き、普段の状態に戻ります。年齢を重ねるごとに発症する回数は減少する

といわれています。

(3)病院での治療

薬物療法ではトリプタン系製剤の投与があります。トリプタン系製剤は血管と三叉神経に作用する

ことによって片頭痛の症状を抑えることができます。

(4)鍼灸での治療

頭痛の東洋医学的鍼灸治療

頭痛の原因は東洋医学的に大きく分けて4つあります。

①肝の異常によるもの

肝の異常が起きることによって、関連する経絡(気血の通り道)が塞がってしまい、この経絡は側

頭部を通っているため、側頭部の頭痛が発症します。これがいわゆる片頭痛と言われるものです。

②脾胃の異常によるもの

脾胃の異常があると体の中の水分が消化できずに湿となります。湿が体の中に溜まっていくことに

よって重だるい頭痛が発症します。二日酔いの頭痛はこのタイプに属し、飲みすぎて脾胃の機能が

失調することによって体内の水はけが悪くなり、水分が湿となって頭痛を引き起こします。

このタイプは小便を出し、脾胃の機能が元に戻ると比較的早く症状は改善されます。

③肺の異常によるもの

このタイプは悪寒や発熱が伴う頭痛です。

首が張って後ろを振り返ることができない、鼻づまり、鼻出血などの症状が合併して発症する場合

があります。

④腎の異常によるもの

腎の異常によって関連する経絡(気血の通り道)が塞がり、その経絡は頭を通っているために頭痛

が発症します。高血圧やふくらはぎのむくみ、歯が悪いなどの症状が合併している場合が多く見ら

れます。

※頭痛は様々な原因によって発症します。

 鍼灸治療では、まず適応か不適応かを見極めることが大変重要です。

​ 普段とは違った頭痛が発症した場合、まずは専門医療機関に行きましょう。

 

⒉緊張型頭痛

(1)緊張型頭痛とは?

緊張型頭痛とは、精神的な過緊張による自律神経の乱れや、頸肩部などの器質的な筋緊張により

管や神経がストレスを受けることによって発症する頭痛をいいます。

(2)症状

片頭痛とは異なり、症状に持続性があり、頭の両側や後頭部に締め付けられるような重苦しい痛み

出ます。体を動かすと症状が軽くなるのが特徴的です。

(3)病院での治療

病院ではほとんどの場合で薬物療法となります。薬は主に非ステロイド性抗炎症薬が処方されます。その他理学療法(電気療法や温熱療法、運動療法など)が挙げられます。

 

⒊群発性頭痛

(1)群発性頭痛とは?

ある時期に集中して起こる目の奥がえぐられるような激しい頭痛です。

原因はまだ詳しくはわかっていませんが、アルコールが誘発因子になることが多いようです。

飲酒後約30分から1時間後に発症することが多く、タバコや気圧の変化なども誘発因子になります。

(2)症状

頭の片側のみに発症し、とても激しい痛みを伴います。

目をえぐられるような、キリで刺されたような、などで表現される方が多く見られます。

(3)病院での治療

治療は主に薬物療法と酸素吸入療法があります。

薬物療法ではエルゴタミン製剤やトリプタン系製剤が主に処方されます。

薬物療法では症状を抑えることができない場合を多く、その場合は酸素吸入療法を行います。

 

(1)顔面神経麻痺とは?

⒋顔面神経麻痺(ベル麻痺)

顔面神経麻痺とは、顔面の筋肉を司る顔面神経が様々な原因によって障害を受け、顔面の筋肉を動

かすことができないといった疾患です。原因は主に寒冷曝露、局所浮腫、ウイルス感染などが挙げ

られます。

(2)症状

突然始まる片側の顔面筋麻痺(額のしわ寄せができない、口笛を吹くことができない、口角が

れ下がるなど)、麻痺側の舌前3分の2の味覚障害、麻痺側の聴覚過敏などがあります。

(3)病院での治療

治療は主に薬物療法になります。ステロイド製剤、ビタミン製剤、抗ウイルス製剤など症状や原因

に応じて処方されます。また、運動療法によるリハビリも早期回復に重要になります。

(4)鍼灸での治療

顔面神経麻痺の東洋医学的鍼灸治療

顔面神経麻痺の東洋医学的原因として3つほど挙げられる。

どのタイプの顔面神経麻痺がしっかりと病態を把握し、適切な治療を行うことが重要となります。

①肝の異常によるもの

顔面神経麻痺は中風病とよばれています。中風病とは風邪に中る(あたる)ことによって発症する疾患のことです。肝の異常がある状態で風に中ってしまうと、肝と関連のある経絡(気血の通り道)がダメージを受け、麻痺を引き起こすと言われています。また、肝は筋をコントロールしており、肝の異常が顔面筋の異常に直結してきます。

肝の異常を改善し、問題のある経絡(気血の通り道)を治療することによって症状は軽減します。

②脾胃の異常によるもの

このタイプは、ヘルペスウイルスなどの感染によって発症する顔面神経麻痺です。

脾胃の異常がある時に風に中ることによって発症します。

脾胃の異常を改善しながら、問題のある経絡を治療します。

③肺の異常によるもの

肺に異常があると、体の表面を流れている経絡(気血の通り道)が弱まり、そこに寒冷刺激が加え

られることによって麻痺が発症します。肺の異常を改善しながら問題のある経絡を治療します。

 

⒌顔面神経麻痺(ラムゼーハント症候群)

(1)ラムゼーハント症候群とは?

ラムゼーハント症候群とは水痘・帯状ヘルペスウイルスが顔面神経に感染して起こる顔面神経麻痺のことを言います。

(2)症状

外耳道、耳介に疼痛を伴う発疹または発赤が見られます。また、同側の末梢顔面神経麻痺を生じます。

(3)病院での治療

 

⒍三叉神経痛

抗ウイルス薬の投与が必要です。

(1)三叉神経とは?

三叉神経痛とは顔に痛みが出る疾患です。三叉神経とは顔面の感覚を司る神経です。三叉神経痛の

70%はこの三叉神経が脳の血管によって圧迫されることにより発症すると言われています。 

た、脳腫瘍が三叉神経を圧迫するケースもあります。

(2)症状

片側の顔面の電撃痛です。症状は長くは続かず、数秒間です。

(3)病院での治療

基本的に薬物療法(テグレトールなど)、三叉神経ブロック、微小血管減圧法(ジャネッタ手術)

が用いられます。原因が脳内腫瘍の場合は外科的摘出術またはガンマナイフ療法が用いられます。

(4)鍼灸による治療

三叉神経痛は東洋医学では痛痹とよばれます。痛痹とは寒が原因で起こる痛みであり、顔面の気血の循環が良くないと寒が侵入して気血の停滞を招き発症します。

タイプが肝、肺、脾胃の異常の3つほどあり、病態をしっかり把握して、根本の原因を治療することが重要となります。鍼は顔面部にも行いますが、背中や肩首周りの張りをとることで症状をより軽減させることができます。

 

⒎肋間神経痛

(1)肋間神経痛とは?

肋間神経が帯状疱疹や腫瘍、胸椎椎間板ヘルニアなどに刺激されることによって起こる痛み。

(2)症状

片側の持続性の痛みが肋骨に沿って胸を取り巻くように放散します。

呼吸や咳、あくびなどによって痛みが増減することもあります。

(3)病院での治療

原因が腫瘍の場合、外科的療法が選択されます。

基本的には薬物療法、コルセットなどの装具療法などの治療が挙げられます。

(4)鍼灸での治療

肋間神経痛は東洋医学的には肺と肝がの異常が深く関係しています。

肺は体に気を巡らせる働きをしており、この働きが弱くなると胸が冷え、痛みが発症します。

肝は血をコントロールしており、異常が生じることによって血が停滞し、症状が発症します。

病態をしっかりと把握し、原因に応じて適切な治療を行うことで症状は改善します。

 

⒏橈骨神経麻痺

(1)橈骨神経麻痺とは?

橈骨神経が様々な原因により圧迫され、神経の走行部位にかけて症状が発症する疾患です。

(2)症状

手の背側(甲側)が痺れる。

代表的な症状は下垂手と言われる症状です。これは手首を甲側に上げることができず、手首が手のひら側にだらりと垂れている状態です。

(3)病院での治療

保存療法が基本となります。

骨折や脱臼、腫瘍等が原因の場合は手術療法となります。

(4)鍼灸による治療

①西洋医学的鍼灸治療

橈骨神経、正中神経、尺骨神経などの末梢神経麻痺の主な原因は筋肉による神経の圧迫です。

鍼灸治療によって筋肉を緩め、圧迫を取り除いて血液循環を改善することで痺れ等の症状を改善

することができます。

②東洋医学的鍼灸治療

東洋医学では手足の痺れや筋肉の痛みを「痹証(ひしょう)」といいます。

痹証とは、体に弱っているところがあるときに、外から外邪(風・寒・熱・湿など)が入ってき

てしまうことによって発症する痛みや痺れといった症状です。

どの外邪が入ってくるかによって症状の性質が変わり、タイプによって治療内容も変えなくては

なりません。

 

⒐正中神経麻痺

(1)正中神経麻痺とは?

正中神経が肘周りから前腕の様々な筋肉によって圧迫されることによって生じる母指から薬指にかけての感覚異常や運動障害が特徴的な疾患です。

(2)症状

親指、人差し指、中指を動かすことができません。また、親指の筋肉が萎縮する猿手という症状が特徴的です。

(3)治療

橈骨神経麻痺と同様です。

 

10.尺骨神経麻痺

(1)尺骨神経麻痺とは?

尺骨神経が主に肘部管や尺骨神経管で圧迫されることによって生じる指先の痺れや運動障害。

(2)症状

中指・薬指・小指を動かすことができない。指が曲がって鷲の手のようになる鷲手という症状が特徴的である。

(3)病院での治療

橈骨・正中神経と同様です。

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