腎臓病などを鍼灸治療のみで完治させることは不可能ですが、病院での治療と併用して鍼灸治療を受けることによって様々な症状の改善が期待できます。また、鍼灸治療は薬物療法と違って副作用がほとんどないため、お身体に優しい治療方法となっています。
当院では東洋医学的な自然治癒力を上げることを目的とした治療を行っています。
1.急性糸球体腎炎
(1)急性糸球体腎炎とは?
急性糸球体腎炎とは、のどの腫れや扁桃腺炎などが治ってから約1〜2週間後に発症する血尿、蛋白尿、高血圧、全身倦怠感などの症状が発症する疾患です。原因は溶血性連鎖球菌などの細菌による炎症によって腎臓に免疫複合体が付着して炎症を引き起こすと言われています。この疾患は早めの治療によって完治させることが可能なため、上記のような症状が発症した場合は早期に病院での検査が必要です。
(2)症状
症状は主に血尿、蛋白尿、高血圧、全身倦怠感などです。
(3)病院での治療
治療は基本的に保存療法と薬物療法となります。安静、食事指導(水分、塩分など)、抗生物質、降圧薬、利尿薬などによって治療が行われます。
2.慢性糸球体腎炎
(1)慢性糸球体腎炎とは?
慢性糸球体腎炎とは、蛋白尿や血尿が長期間にわたって持続する疾患です。蛋白尿が長期間持続することによって腎不全へと移行しやすくなるため、定期的な検査が必要です。詳しい原因は分かっていませんが、免疫の異常が関与していると言われています。
(2)症状
症状は主に蛋白尿、血尿、高血圧、めまい、浮腫(むくみ)、全身倦怠感などです。
(3)病院での治療
治療は基本的に食事療法と薬物療法です。食事療法では塩分、たんぱく質の制限が行われます。
薬物療法では降圧薬、利尿薬、ステロイド薬、抗血小板薬などが症状や病態にあわせて処方されます。
(4)鍼灸での治療
ここでは浮腫と小便異常を東洋医学的に解説します。
体内に余分な水分が停滞する病気を、東洋医学では湿病、痰飲病、水気病などと呼びます。湿病とは現代でいうリウマチであり、関節を中心に水が停滞する病気です。痰飲病とは体内の水が痰(ネバネバ)に変化して流れが停滞し、内臓に停滞した状態です。水気病とは体の表面に水が停滞した状態をいいます。下半身のむくみや水太り状態はこの水気病です。これらの体内に余分な水分が停滞する原因は、主に2つ挙げられます。
①脾胃の異常によるもの
脾は飲んだ水分を胃から小腸、膀胱と小便にして排泄するのを助ける機能があります。そのため、脾に異常があると飲んだ水分が正常に排泄されなくなり、体内に停滞してしまいます。体内で停滞した水分は時間が経つと熱に変わり、その熱が腎に行くと現代でいう糸球体腎炎や腎盂腎炎などの状態となります。脾の機能を改善し余分な水分が停滞しないようにしてあげることで症状を改善することができます。
②腎の異常によるもの
腎に異常があると腎の津液が不足してしまい、津液は水なので水が不足して熱が生じます。この熱がもっと腎を熱し、現代でいう慢性糸球体腎炎や腎硬化症が発症します。鍼灸治療によって腎の異常を治療し、津液が増えてくると熱が冷めて症状が改善してきます。
鍼灸治療は病院の治療と併用して受けていただくことで、病院での治療効果が上がったり、お薬の副作用が抑えられたりします。鍼灸治療だけで完治させようとせず、西洋医学と東洋医学のいいとこを取って治療を受けられることをお勧めします
3.性機能障害
(1)性機能障害とは?
性機能障害とは生殖・性行為に支障をきたす様々な症状をいいます。
原因は心因性のものから血管性、神経性、内分泌性のものまで多岐に渡ります。


